首都大学東京 研究センター

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子ども・若者貧困研究センター

学術的背景

日本における子ども・若者の貧困研究を学術的かつ体系的に取り組む研究拠点を形成

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研究センター長 阿部 彩
人文科学研究科
社会行動学専攻 教授
博士号(タフツ大学フレッチャー法律外交大学院

先進諸国の多くが抱える相対的貧困は、日本においても大きな社会問題となってきています。中でも、従来「国民総中流」の幻想の基に、比較的に均一と考えられてきた子どもの社会経済環境にも大きな格差があることが解明されてきており、社会経済階層の底辺においては子どもの人権という観点からも許容し難い現状にある子どもが存在することが明らかになってきました。政府は、子どもの貧困が一刻も猶予がならない社会問題であるとの認識の基に、2013年6月に与野党全員一致で「子どもの貧困対策を推進する法」を可決し、また、2014年8月には同法に基づく「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定されました。しかし、貧困の子どもが抱える諸問題の全容、また、いかにして貧困の影響を最小限に食い止め「貧困の連鎖」を食い止めるかの具体的政策、貧困に関する問題意識をどのように世論や行政に反映していくか等については、まだ模索状況にあると言えます。

我が国の学会においても、長期に渡って貧困が社会問題と認識されていませんでしたが、2000年代後半になり、子ども・若者の貧困に関する研究が各学術分野において、少しずつではあるが蓄積されてきています。しかしながら、それらの研究成果がさまざまな学術分野(社会福祉学、経済学、社会学、教育学、医学、心理学、地理学など)に散在しており、体系だった貧困研究として確立していません。

一方、欧米においては、1世紀以上も前のシーボーム・ラウントリー(1871-1954)や、ピーター・タウンゼンド(1928-2009)の功績などを始めとして、これらの研究が脈々と受け継がれてきています。その結果、「貧困研究」という研究分野が確固たるフィールドとして確立されており、貧困研究に特化する研究所も多数存在します(英国ブリストル大学Townsend Centre for International Poverty Researchや、米国ウィスコンシン大学Institute of Research on Poverty、英国Child Poverty Action Group、国連児童基金(ユニセフ)イノチェンティ研究センターなど)。これらの研究センターの特徴は、学際的に貧困という事象に取り組んでいることであり、多面的かつ複合的である貧困のメカニズムの解明に成果を挙げています。

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